目先の節税にとらわれるな

相続は2回ある――こう聞いて、あなたはピンとくるでしょうか。1回目は両親の一方が亡くなったとき(一次相続)、2回目はもう1人が亡くなったとき(二次相続)です。一般的に一次相続のほうが納める相続税は少なくなります。配偶者には税制面で大きく優遇される制度があるからです。

幸せな家族の屋外の2つの世代。
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配偶者は、法定相続分の相当額または1億6000万円のいずれか多い金額まで相続税が非課税になります。また、「小規模宅地等の特例」という、土地の相続に関する制度でも条件面で優遇されています。これは、被相続人(亡くなった人)が住んでいた建物の敷地を相続する場合に、330平米までは8割引きの評価額で相続できる制度です。原則、相続する人が同居の親族という条件ですが、配偶者は仮に別居していたとしてもこの制度が利用できます。

このように、配偶者には様々な優遇措置があるため相続税が0円になることもあり、よかれと思って一次相続のときに配偶者が全額相続するケースがあります。しかし後先を考えないと、二次相続で莫大な相続税がかかってしまう場合があるのです。