大学院で電子工学を専攻し入社したが、ビジネスに携わりたいとの思いがあり、ビジネスの知識・知恵を身につけ、かつ自分の基軸を構築するために読書にいそしんだ。読書は疑似体験であり、その後、財務の責任者を任されたときも、書物から大いに学んだ。心がけていたのは、まず本を読んで、全体像をつかむこと。次に自分のインデックスとして、その本に掲載されている参考文献や引用文献から、興味のある本を選び、原典にあたっていった。最も役に立った書物は、『二十世紀から何を学ぶか』。同書の膨大な文献リストは、現代の「知」の集積だ。

グローバリゼーションを考えるにあたっては、世界の潮流にドイツがどう対処すべきかを説いた『グローバリゼーションの時代』も勧めたい。1998年の出版ながら、その後に起きた危機への警鐘を鳴らしている。現代のグローバリゼーションの本質を平易に説明しており、読みやすい。

また経営者に近いポジションである指揮者、そしてオーケストラを描いた『ウィーン・フィル 音と響きの秘密』は、音楽でも経営でも、いかにグローバリゼーションとせめぎ合っていくべきかを示唆する一冊だ。

(構成=鈴木 工 撮影=的野弘路、永井 浩)