米国とイランの対立で、中東で緊張状態が続いている。経営コンサルタントの小宮一慶氏は、「日本は中東原油への依存度が高いため、原油の高騰は物価高を招く。一方、給与は上がらないので、消費は落ち込み、景気は後退する。原油の純輸出国である米国とは正反対の動きになる」という――。
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「米国とイラン」の緊張関係と日本人の家計の関係

2020年に入り、米国とイランとの緊張関係が一気に高まりました。

米国がイランを空爆してソレイマニ司令官殺害し、その報復としてイランがイラク国内にある米軍基地にミサイルを発射。両国とも、「戦争は望まない」という点で一致し、戦争状態への突入は回避されそうですが、ドバイ原油価格はこの事態を受け、一時的に1バレル70ドル程度にまで値上がりしました。

日本経済は中東原油への依存度が高く、原油価格上昇に弱い。そのため日経平均株価も大幅下落しました。現在は、株価もある程度落ち着いていますが、原油価格の高騰は資源の乏しい日本の経済にとって痛手となることが改めて露呈しました。

2020年日本経済の最大の懸念は「米中摩擦」でした。幸い、この米中摩擦は緩和の方向に向かう兆しもあり、少し安心感がありますが、今後の日本経済を見る上では、「中東情勢」により強く目配せする必要が出てきました。