アベノミクスからの「消費増税+新型コロナ」で日本経済は瀕死の状態
新型コロナウイルスが日本経済に深刻な影響を及ぼしつつあります。感染の広がりがいつ抑え込まれるかまったく不透明な中、どこまで経済が落ち込むかが心配です。
景気指標はどんどん落ち込んでいます。
私は経営コンサルタントとして、顧客企業に対して、ふだんよりかなり多めの「手元流動性」を持っておくようアドバイスしています。手元流動性は、自身でコントロールできる現預金などの資金のこと。ふつう大企業は月商の1カ月分、中堅企業は1.2~1.5カ月分、中小企業は1.7カ月分くらい持っていれば資金繰りに問題ないと言えます。
しかし、先行きが不透明なため、今は通常よりかなり多めに確保しておいたほうがいいと考え、そう伝えています。企業にも万が一に備えてという緊迫した空気を感じます。
経済学では「ショック」という言葉を、「不連続な断絶」が起こった時に使います。1970年代の「オイルショック」や2008年の「リーマンショック」がよく知られていますが、2020年はまさに「コロナウイルスショック」という状況になってしまいそうです。
急激に落ち込む景気指標
今、新型コロナウイルスの影響で多くの人が集まるコンサートやイベントが軒並み中止・延期となっています。明らかに経済にマイナスです。ただ、ここで大事なのは、日本経済はその前から下降気味であったという認識を持つことです。
2019年は景気が徐々に悪化していた中で、10月1日に消費税が10%に上がり、一気に減速感が増していたのです。さらに、そこへ新型コロナがやってきたというのが正しい認識です。
図表1は「日銀短観業況判断」です。これは景気が「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業の差をパーセントで表したものです。全員が「良い」と答えると「プラス100」、全員が「悪い」と答えると「マイナス100」となります。
その大企業・製造業の数字を見ると、2018年くらいまでは「プラス20」前後でした。「どちらでもない」という答えもあるために、「プラス20」というのは、まずまず良い数字です。それが、2019年の3月調査頃から落ち込み始め、消費税増税前の9月調査では「プラス5」まで落ちていて、増税後の12月調査では「0」です。6年7カ月ぶりの水準まで落ちてしましました。
国全体の経済の規模や伸びを表す国内総生産も、消費税増税後の2019年10~12月の数字は、実額を表す「名目」も、インフレを調整した後の「実質」も大きく落ち込みました。
とくに実質国内総生産は年率でマイナス7.1%というとても大きな落ち込みです。
ここまではある程度想定していたことではありますが、新型コロナ騒動が始まる前から景気は落ち込み始めていたという認識が必要なのです。