新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響は、日に日に深刻さを増しています。経済評論家の加谷珪一さんは、「感染終息後、経済が元に戻ってからも楽観は禁物」と言います。その理由とは――。
実業家やスマート フォンを見ているビジネスマン
※写真はイメージです(写真=iStock.com/monzenmachi)

この先、深刻な影響が出てくる業界は……

新型コロナウイルスによる経済への影響が深刻になっています。イベントの自粛要請に続いて、2月27日には政府が小中学校、高校に対して一斉休校を要請したことで、子どもがいる世帯は大混乱となりました。感染症ですから、いつかは終息を迎えることになりますが、しばらくの間、こうした状況が続く可能性が高いと思われます。家計にはどのような影響が及ぶのでしょうか。

今回のように感染症が拡大した場合、経済活動は順を追って停滞していくことになります。最初に影響を受けるのは観光業界や航空業界ですが、すでに観光地はガラガラの状態で、飛行機もキャンセルが相次いでいますから、この段階はとっくに過ぎています。続いてイベント業やアミューズメント関係が影響を受けますが、これも政府から自粛要請が出たことで、PerfumeやEXILEの公演が中止になったり、東京ディズニーランドが休園する事態となっています。

社会全体で人の行き来が減るので、次に影響を受けるのは飲食店です。多くの宴会予約がキャンセルになっており、一部の飲食店はかなり厳しい状況に陥っています。ただ、外出が減る分、デリバリーは拡大していますから、業種によってはむしろ注文が増えているところもあるようです。

しばらくは経済活動の自粛ムードが続くことになりますから、この先、深刻な影響が出てくるのは小売店や卸など販売関係でしょう。さらにモノが売れなくなってくると製造業にも影響が波及し、工場の操業停止といった事態もありえます。