今後の注目は中東情勢が日本「消費」に与える影響
ここまで日本経済が原油価格の上昇に弱いことを説明してきましたが、今は小康状態として、今後の焦点は米国とイランの対立により、どこまで原油価格が上がるのか、そしてそれがどれくらい続き、日本の物価に影響を及ぼすのかです。
日本の場合、家計の支出がGDPの半分以上(約55%)を支えていますが、その消費がどう動くかに注意が必要です。前述したように、コストプッシュ型のインフレは、消費にマイナスに働きます。所得が増えない中で、ガソリン価格などが上昇するわけですから、他の商品の消費が下がるわけです。
企業としては、輸入物価上昇にともなう仕入れ価格の上昇と、消費の減少のダブルパンチをくらう可能性があります。
図表3は家計の支出を表す「消費支出(2人以上世帯)」の前年比の数字です。2019年に入って比較的堅調に推移してきましたが、消費税増税の10月前後で大きく動いています。今後のこの数字に注目です。
米中摩擦緩和で2020年後半に景気が持ちなおすことを私は期待していますが、原油価格が今後高騰すれば、日本経済には大きな下押し圧力となります。大統領選を控えたドナルド・トランプ氏の動き、それに大きく関連する中東情勢や原油価格の動きからは目が離せません。