※本稿は、針貝有佳『デンマーク人の休む哲学』(大和書房)の一部を再編集したものです。
日本人の旅行は「仕事」に見える
デンマーク人の夫が面白いことを言っていました。
日本人の旅行は「仕事」をしているように見えることがある、というのです。
ガイドブックやネットで訪問先の研究をして、行きたい訪問先をリストアップして各地を回り、写真撮影をしたりチェックマークをつけたり。そのスタイルが悪いということではなく、タスクをこなすように観光していて、まるでバケーション中でも仕事をしているように見えるようです。
最初にデンマーク一人旅をした当時の私はまさにその典型でした。
ガイドブックに紹介されている場所をどれだけ多く回れたか、ということを「旅の充実感」だと思い込んでいました。けれど、デンマークで暮らすようになってから、なるほど、一日の訪問先プランは1カ所あるかないかぐらいがちょうど良いのだな、と思うようになりました。
行き先にとらわれてしまうと、行くことが目的になってしまい、その場の空気や風景を全身で満喫できません。それよりは、どこでも良いからみんなでゆっくり楽しめそうな場所に出かけて、特に目的もなく、気が向くままに歩き回ったほうが楽しいのです。
そう感じるようになってきたということは、私も長年のデンマーク暮らしで、デンマーク人体質になってきたということかもしれません。
人気スポットはよっぽどの情熱がない限り行かない
日本で休暇というと、人混みを思い浮かべる方も多いかもしれません。人気の観光スポットや、話題の場所に足を運ぶ人も多いでしょう。
デンマーク人の休暇の楽しみ方は、ちょっと違います。
もちろん、みんなが行く人気スポットを見てみたいという気持ちはありますが、それよりも「ゆっくり楽しみたい」という気持ちが勝ちます。
人気のお店に行っても、長蛇の列を見ると「うわぁ、並んでるね。やめよう」とスルーすること多々。混雑している場所には長時間滞在できず「そろそろ、切り上げようか。いい空気が吸いたい」と、外に出ること多々。
混雑している場所や、長蛇の列は、デンマーク人にとってはかなり「特別な場所」。よっぽど情熱を持っていることであれば、頑張って行きますが、そうでない限りは「まぁいいや」とサクッと諦めます。

