「生産性世界一」ともいわれるデンマークでは、どのような働き方をしているのか。デンマーク在住で同国の文化を研究する針貝有佳さんは「金曜午後に一足早く週末モードに入り、土曜日は完全にオフモード。その代わり、日曜日の午後にはその週の仕事について準備を始める」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、針貝有佳『デンマーク人の休む哲学』(大和書房)の一部を再編集したものです。

デンマークの首都コペンハーゲン旧市街
写真=iStock.com/KavalenkavaVolha
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スケジュールは「休み」から埋める

デンマーク人は、まずは「休みのデザイン」をしてから、「働き方のデザイン」をします。

「仕事の合間にプライベートタイムを持とう」と考えるのではなく、「プライベートタイムの合間に仕事をしよう」というスタンスなのです。

年間カレンダーを見て、まず最初に休暇の楽しみに想像力を膨らませるデンマーク人は多いはず。スケジュールを「休み」からデザインするのです。

日常生活でも同様です。プライベートの大切なことや楽しみから先に、予定をブッキングするのです。

アネッテのスケジュールの組み方が参考になります。

コペンハーゲン市保健課のリーダーであるアネッテは、リーダーである自分の心身の安定が、職場にとっても重要なことだと考えています。

心身を良い状態にキープするために、週に数回、仕事帰りにヨガ教室に通っています。また、友達との楽しみや美容院の予約も欠かしません。

「何が自分の喜びにつながるのか。自分にとって大事なことは何かを考えて、喜びを感じる大事な予定から入れていく」

アネッテにとって大事なのは、優秀なインストラクターによる週に数回のヨガレッスンです。それから、お馴染みのメンバーとの年十回の劇場通い。そして、お気に入りの美容師によるヘアカット。

美容院は半年以上前に予約し、楽しみの土台を先につくる

驚くのは、とても先のスケジュールまで見通してブッキングしていることです。

たとえば、年に10回の劇場通いは、年間カレンダーを眺めて気になる上演をピックアップするところから始めます。美容院も、お気に入りの美容師に特定の時間帯にお願いしたいため、半年以上前から予約します。ヨガも、確実に良いインストラクターのレッスンに行きたいため、1カ月以上前から予約します。

このように、年間・月間の大事な予定を前もってブッキングしておくと、心が落ち着くのだそうです。

ここまで聞くと、アネッテは何でも計画的できっちりとしている印象ですが、ざっくり大枠を決めるだけで、日常はゆるく臨機応変なのだとか。

本当に大事なことをブッキングして、絶対に楽しめる土台を先につくっておくからこそ、あとは状況に応じて決めればいい。土台があるからこそ、安心して流動性を楽しめるのです。