焼き肉、からあげ、鍋への転換が増えている

ひるがえって、「幸楽苑」はもともと郊外ロードサイド店が大半だ。「いきなり!ステーキ」の現状を見るに、郊外ロードサイド立地の「幸楽苑」を「いきなり!ステーキ」に転換しても、収益性が高まることは見込みづらい。そのためか、最近は「いきなり!ステーキ」への転換を行っていない。増えているのは「焼肉ライク」や「からやま」、鍋料理店「赤から」への転換だ。だが、この動きも危うさをはらんでいる。

「焼肉ライク」は1人1台の無煙ロースターで気軽に焼き肉を食べられる「一人焼肉店」の店として注目を集め、繁華街を中心に店舗網を拡大してきた。確かに勢いはあるが、一人焼肉を郊外ロードサイドで展開して成功するかは未知数だ。前述した通り、郊外ロードサイド店は家族連れを取り込めないと厳しい。「焼肉ライク」も郊外ロードサイド向けのモデル店を開発してはいるが、イメージが邪魔をしてファミリー層を取り込めない可能性は捨てきれない。

トレンドに左右されて経営が傾くリスク

一方「からやま」は、からあげブームに押されて勢いがある。だが、ブームが去った後にからあげが外食店の定番で居続けられるかは不透明だ。また、辛い鍋料理を売りとする「赤から」も激辛ブームに乗って勢いがあるが、同様に今後も勢いを保つことができるかは未知数といえる。

トレンドに乗って勢いがある外食店をFC展開することは、収益性を一気に高めるチャンスが得られる一方で、ブームが去った後の対応を誤れば経営が一気に傾くリスクも抱え込む。「いきなり!ステーキ」のように、急に不振に陥らないとも限らない。幸楽苑HDは今後こうした点に気をつける必要があるだろう。

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