インドでレクサスが売れている。その背景には、販売店による、きめ細かい顧客志向のサービスがある。ノンフィクション作家の野地秩嘉氏が、現地の代表的なトヨタ販売店・MGFトヨタを取材した——。
町いちばんの尊敬されるディーラーを目指す
インドの人口は約12億人。中国に次いで世界第2位だ。また、人口の半分は25歳以下で、未成年の数だけで5億人いる。これからお金を使う人が日本の人口の約5倍もいるわけだ。
2018~19年のインドの経済成長率は7.3%(JBIC国際協力銀行調べ)。世界で7番目の経済規模である。
首都はニューデリー。そこから車で約30分の距離にある都市がグルグラム(グルガオン)。日本人駐在員も多く暮らす経済都市だ。
そこにはインドにおけるトヨタの代表的な販売店MGFトヨタがある。
わたしが会ったCEOのD.T.ナイク、副社長のA.K.ダヤルともに軍人出身であるが、しかし、物腰はやわらかい。
ナイクは言う。
「当MGFトヨタは『町いちばんの尊敬されるディーラーになる』のが目標です。そのためには各従業員のモチベーションが高くなくてはいけないと思っています」
トヨタは今、ふたつの目標を掲げている。「町いちばんの企業になる」。そして、モノ作りだけでなく、「モビリティ・サービスの会社になる」。
ナイクのあいさつから、MGFはそのふたつの目的をよく理解しているとすぐにわかった。