無料の食事を提供するのは当然のサービス

2番目の特徴は、リフレッシュメント(スナックなどの軽食)とミール(食事)の無料提供だ。日本の販売店では来店した客に無料の食事を提供することはまずない。しかし、インドでは顧客サービスの一環となっている。わたしは中国の広州、深圳の販売店にも行ったが、そこでも無料の食事の提供は習慣となっていた。そうしてみると、車が贅沢ぜいたく品に当たる新興国では、見込み客、顧客に対して、食事を提供するくらいはごく当然のサービスメニューになっているようだ。

ダヤルの説明である。

「インドにおいてはお茶やコーヒーを用意しているコンペティターは多いですが、うちではちゃんとした食事を用意します。むろん、無料です。お客様は我々の大切なゲストですから、できる限りのもてなしをします。サンスクリット語のことわざに『Atithi devo bhava(Guest is my God)』というのがあります。それは、お客様は神様ですという意味で、世界でそういうもてなしの言葉があるのはインドと日本だけではないでしょうか」

画像提供=Toyota Motor Asia Pacific
顧客には無料の食事が提供される

インドでは珍しい「60分で終わる車検」をしている

3つ目は同社が自信を持つ「エクスプレス・メンテナンス」。車両点検を実質、60分で終えてしまうサービスだ。

日本国内のトヨタ販売店では車検を60分で行うところはある。また定期点検なら45分で行うところもある。しかし、インドで60分という短時間で点検をやることができるのはトヨタの販売店だけである。もちろんMGFトヨタも例に漏れない。

ダヤルは胸を張る。

「コンペティターは少なくとも2.5時間程度、もしくは3時間はかかるでしょう。しかし、私たちはトヨタ生産方式を駆使して、60分にしました。またお客様のご要望に応じて追加作業があった場合には、内容に応じて、エクスプレス・メンテナンスの90分版ですとか、120分版もあります。

メンテナンスの間、60%のお客様が当社の店舗の中で待っています。そのため、リフレッシュメントを提供し、また、メンテナンス作業をガラス越しに確認できるようにもしています」