MBAホルダーもつい読みたくなる

本書『新しい経営学』には、こう英題がついている。“RENOVATION OF MBA BASICS”――あえて日本語に訳したなら、「経営学修士課程(MBA)で学ぶ基礎科目の再構築」となるだろうか。

KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院教授 三谷宏治氏

「タイトルに使った『新しい』は、最新の、という意味ではありません。新しい枠組みの、新しく教える、新しい捉え方の……そんな意味です」

著者の三谷宏治・KIT虎ノ門大学院教授はそう語る。三谷氏はこれまで、BCG、アクセンチュアに勤め、グロービス、早稲田大学ビジネススクール、KITなどMBAで経営学を教えてきた。しかし本書は、女子栄養大学の2年生という、いわば「ビジネスの素人」向けの講義がもとになっている。まさに初学者向けの「経営学の教科書」だ。

ただ「網羅的でわかりやすい」というありがちな文句では、本書は語り尽くせない。旧来の経営学が「再構築」されていることこそがまさに本書の「新しさ」だ。「経営学をマーケティングや会計といった学問分野別ではなく、ビジネスの目的別に教える。それによってMBA学習がただの『専門分野の束』に陥らず、実践につながるんです」