ウィーワークへの投資失敗の影響は?

ソフトバンクグループ(SBG)会長兼社長の孫正義氏が、日本ソフトバンクを設立したのは1981年。その後の歩みは立志伝中の人物のそれだ。2001年に始めたブロードバンド事業ヤフーBBは巨額赤字を出し続けながらもシェア獲得に成功した。06年の英ボーダフォン日本法人(買収金額1兆7500億円)、13年の米通信大手スプリント(同2兆円)、16年の英半導体設計大手アーム・ホールディングス(同3兆3000億円)と超大型買収を何度も手掛けてきた。

ソフトバンクグループ会長兼社長 孫 正義氏(時事通信フォト=写真)

孫氏が現在、最も注力するのは投資総額20兆円を超すソフトバンク・ビジョン・ファンドである。「人工知能(AI)革命はインターネットに続く革命」ととらえ、中国のアリババ集団や米ウーバー・テクノロジーズなどに積極投資を続けている。SBGの19年4~6月期の純利益は、アリババ株式の一部売却で1兆1217億円に上った。

ただ、100億ドルを投じた米シェアオフィス・ウィーワークの運営会社が上場延期に追い込まれ、足元が揺らぐ。一時470億ドルと見込まれた企業価値は200億ドル以下に。孫氏と関係の深いアダム・ニューマン最高経営責任者(CEO)は利益相反の疑いで19年9月に辞任。ウィー社は赤字垂れ流しで成長期待がはげ落ち、資金繰りを不安視する声も出始めた。

頼みの綱は今なお保有株の4割を占めるアリババの含み益だが、米中対立激化で株価が弱含んでいる。「危機のときこそ生きがいを感じる」という孫氏。今回も活路を見いだせるかどうか、注目が高まっている。

孫 正義(そん・まさよし)
ソフトバンクグループ会長兼社長
1957年生まれ。80年米カリフォルニア大学バークレー校卒業。81年日本ソフトバンク設立。96年ヤフー社長。2017年6月より現職。
(写真=時事通信フォト)
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