紳士服チェーンの「コナカ」が服飾雑貨ブランド「サマンサタバサ」を傘下に収めた。なぜ男性向けスーツ企業が、女性向けバッグブランドを取り込んだのか。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は「コナカは業界内でもスーツ事業への依存度が高く、それがリスクになっている。スーツ離れの解消より、バッグブランド再生のほうが現実的だと考えたのではないか」と分析する――。
ブームが終わり低迷するサマンサタバサ
紳士服チェーン3位のコナカが服飾雑貨ブランド「サマンサタバサ」を傘下に収めると聞いて「なぜ?」と首をかしげた人は少なくないだろう。
コナカは9月17日にサマンサタバサジャパンリミテッドの株式31.3%を取得し、持ち分法適用会社とした。コナカはサマンサ創業者の寺田和正氏と並ぶ筆頭株主になった。
サマンサは主にバッグを扱い、ヒルトン姉妹やミランダ・カーといった海外セレブや蛯原友里など国内トップモデルを起用した大々的なプロモーションで話題を集めてきた。その結果、10~20歳代の女性を中心に人気のブランドとなった。
店舗網の拡大や他ブランドの買収などで売り上げを伸ばし、最盛期の2016年2月期には売上高434億円をたたき出した。だが、その勢いは続かず、不採算店の閉鎖を進めるなどした影響で、翌17年2月期の売上高は前期比18%減の354億円に激減。純損益は4億7000万円の赤字(前期は1億2100万円の黒字)に陥った。
直近本決算の19年2月期は、売上高が前期比14%減の277億円、純損益は13億円の赤字(前期は36億円の赤字)となっている。減収と最終赤字はいずれも3年連続だ。