スーツを買わせるよりサマンサ再生を選択

2社に比べ、コナカは非スーツ事業が育っていない。スーツを主軸にしたファッション事業は売上高の97%(18年9月期)を占める。とんかつ店「かつや」や、から揚げ専門店「からやま」をフランチャイズ展開する飲食事業、英語を学ぶ学童保育「キッズデュオ」などの教育事業を手がけているが、どれも規模は小さい。スーツへの依存度が高く、スーツ需要低下の影響をもろに受けやすい事業構造となっている。

それゆえコナカは、事業リスクの分散化を図るため、サマンサを傘下に収めることにしたのではないか。確かにサマンサの業績は厳しいが、デザインを一新するなどして再起を図ることは不可能ではない。スーツを着なくなった人にスーツを買わせるよりは、おそらく簡単だろう。

事実、サマンサはこの秋冬から20~40歳代の働く女性をターゲットにしたシックなデザインの商品を投入するなど、デザインの見直しを模索している。こうしたシックなデザインのものであれば、コナカの店舗で販売するなどでシナジーが見込めるかもしれない。いずれにせよ、コナカはサマンサを傘下に収めてサマンサの再生を実現し、事業リスクの分散化を図りたい、というのが今回の資本提携の狙いだろう。

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