青山、AOKIと比べてコナカの苦境は深刻
スーツ業界には厳しい風が吹いており、もちろんほかの大手も同様に苦しんでいる。だが、競合他社と比べても、コナカは特に深刻な状況にあるといえる。
最大手の青山商事の19年3月期連結決算は、売上高が前期比約2%減の2503億円、純利益は50%減の57億円と減収減益で苦戦した。ただ、売上高は長い目で見れば増加傾向にあり、通期の純損益は長らく赤字知らずだ。
業界2位のAOKIホールディングスの19年3月期連結決算は、売上高が前期比2.3%減の1939億円、純利益は約38%減の46億円と減収減益で同じく苦戦した。ただ、AOKIも青山商事と同様に長らく売上高は増加傾向にあり、通期の純損益は赤字知らずとなっている。
なぜコナカだけが深刻な苦境なのか。理由はふたつある。ひとつには、スーツの販売力の違いだ。そしてもうひとつには、非スーツ事業の成長度合いの違いが挙げられるだろう。
青山商事とAOKIは、非スーツ事業がかなり育ってきている。事業の多角化に成功しているのだ。
事業の多角化に成功しているトップ2社
青山商事は、雑貨販売店「ダイソー&アオヤマ100YENPLAZA」や焼き肉店「焼肉きんぐ」、中古品店「セカンドストリート」、ジーンズ販売店「リーバイスストア」など今勢いのある店舗ブランドをフランチャイズチェーン(FC)展開するほか、クレジットカード事業や印刷・メディア事業など非店舗事業も手がけている。
非スーツ事業は、19年3月期において連結売上高の3割弱を占める。営業利益に関してはクレジットカード事業が20億円、ダイソー運営の雑貨販売事業が6億円をも稼ぎ出しており、大きな貢献を果たしている。スーツ事業が伸び悩むなか、事業リスク分散のためにも非スーツ事業の売上高の割合を28年3月期に4割にまで高めたい考えだ。
AOKIも同じ考え方だ。複合カフェ「快活クラブ」事業や結婚式場事業、カラオケボックス「コート・ダジュール」事業を展開。後者3事業は19年3月期において連結売上高の4割、営業利益も4割を占める。スーツを核としたファッション事業は営業利益が減少傾向にあるが、非ファッション事業が下支えしている。