地元建設会社が有利なように原発工事を受注
関西電力(関電)の役員ら20人が高浜原子力発電所のある福井県高浜町元助役の森山栄治氏(今年に死去)から計約3億2000万円相当の金品を受け取っていた問題で、関電は10月2日、昨年9月にまとめた社内の調査委員会の報告書を公表した。公開は初めてだった。
報告書によると、役員の2人は受領額が1億円を超えていた。それだけではない。元助役に原発関連工事の情報が提供されていたことも明らかになった。
情報は元助役の森山氏と関係が深い地元高浜町の建設会社「吉田建設」に伝えられ、この建設会社が有利な条件で工事を受注していた疑いがある。吉田建設は原発関連工事で売上を急増させ、少なくとも2013年から5年の間に売上を6倍に伸ばしていた。
美浜原発では蒸気噴出事故で11人が死傷が起きている
福井県には高浜原発以外に敦賀原発、美浜原発、大飯原発のあわせて4つの原子力発電所がある。このうち美浜原発では2004年8月には蒸気噴出事故が起き、関電の協力会社の作業員5人が熱水を浴びて死亡、6人が負傷した。原発運転中に死者を出した国内初の事故として知られている。
原因は経年劣化による配管の破裂だった。配管は1976年の稼働開始から28年間、一度も検査されず、配管の肉厚が大幅にすり減っていた。
この事故をみるだけでも、関電という組織の杜撰な体質がわかる。そう考えると、今回の金品受領問題にも、まだ表には出ていない不都合な事実が隠されている気がしてならない。