現在の勤め先での出世と、どんな企業でも通用するスキル、優先して取り組むべきなのはどちらだろうか、BBT大学副学長の宇田左近氏は「これからは人材の流動化が進み、キャリア戦争時代に突入する。会社で重宝されるような『社内価値』ばかり重視してきた人は、負け組になる」という——。

※本稿は、宇田左近著『インディペンデント・シンキング』(KADOKAWA)を再編集したものです。

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今いる会社はいつまであなたを必要とするか

1つの組織に長くいる人ほど、「自分の価値」というものをなかなか考えないものだ。「自分の価値」とはなんだろうか? ここでは便宜的に、社内だけで通用する価値を「社内価値」、社外でも通用する価値を「共通価値」と呼ぶことにする。

「社内価値+共通価値>企業の期待価値」は、文字通り共通価値と社内価値を加えると、企業の期待する価値より大きいことを意味する。本人に対するコストに見合った以上のアウトプットがなされるという評価だ。このような場合、企業の側のスタンスは、あなたに「いてほしい」となる。逆に、もしも「社内価値+共通価値<企業の期待価値」の場合は、あなたは「いてほしくない」のゾーンに陥ることになる。

ここで勘違いが生じやすい。前者の場合、共通価値が小さくても社内価値が大きいと、自分は「社内では役に立つ」状態であることから、このアンバランスに気づかない。時間が経ってから社内の価値が落ちた場合に、外では役に立たない現実の前に愕然がくぜんとする。

社内でのみ通用する価値というのは、社内では代替がきく。忖度そんたくの得意な人、空気を読むのが得意な人は、いくらでも取り換えがきく。このような人は、現在は「いてほしい」ゾーンにいても、一寸先は闇ということを考えておく必要がある。このことについてもう少し詳しく見ていこう。