現状維持は大きなリスク

刺激の中に身を置くことの重要性を理解するために、もしも現状維持の場合にどうなるのかを考えてみよう。所属組織が同質性の高い人たちの集団である場合には、そもそも成長の機会は限られると見たほうがよい。このような組織では、より経験の長い人の言うことを聞くのが当たり前、仕事が同質、繰り返しなら経験の長い人、シニアのほうが優れた判断ができるというマインドが浸透している。

当然ながら、そこでは「決める人」と「従う人」が決まっている。答えが定まっているので、それを探すというメンタリティが浸透している。誰かが解決策を提示してくれるはずだというメンタリティだ。多くの場合それが監督官庁への依存心だったり、発注者の意向の探り合い、あるいは上司の機嫌うかがいにつながる。

宇田左近著『インディペンデント・シンキング』(KADOKAWA)

そのような組織では年齢、経験以外にも目に見えない序列がある。出身校だったり、親の職業だったり、性別年齢すべて序列化の対象だ。ひとたび序列が明らかになれば、序列の低い側は決して反論などしない。「おっしゃることはもっともです」が頻発されることになる。しかしながらこれは、答えの決まっていない、先が不確実な世の中では機能しない。

このような環境では人は社外で通用する共通価値を増大することはできない。空気を読む力、阿吽あうんの呼吸、忖度力、集団思考力などが研ぎ澄まされていくことになる。競争相手は同期だ。こうした組織に所属している場合、皆さんが「当面現状維持で行こう」などと思ったら命取り、社外で活躍できる機会を永久に失うことになる。

このキャリア戦争時代、前向きにとらえれば自分次第でいかようにも人生を切り拓ける時代に、今一度、自分と組織の関係や距離感を見つめ直してみてはいかがだろう。

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