教師にとって「部活の顧問」の負担の重さが問題になっている。静岡の元教師すぎやまさんは「勤務時間外の部活は『教師が自主的にやっている』ことになっているので、部活の顧問は限りなくボランティアのような感覚。しかも、やってもやらなくても文句を言われることが多い」という――。(第2回/全3回)
※本稿は、静岡の元教師すぎやま『教師の本音 生徒には言えない先生の裏側』(SB新書)の一部を再編集したものです。
部活の顧問は「限りなくボランティアのような感覚」
部活については、やったらやったで文句を言われる、やらなかったらやらなかったでまた文句を言われる、ということがよくありました。
教師の立場からすると、部活の顧問って正直言って限りなくボランティアのような感覚なんですね。実際、残業代は出ないので、平日の朝や帰りの部活は「教師が自主的にやっている」ということになっているんです。んなわけあるかい! という話ですが、法的に時間外の部活指導を強制することはできないので、実際そうなのです。
でも保護者からすると、顧問も教師の仕事。「仕事なんだからやって当たり前」と思っている人も多いでしょう。そこで意識のズレが生まれて、クレームにつながるわけです。「ボランティアでやってあげてるのに……」と、かなり理不尽を感じ、心がすり減る感覚もありました。
怒鳴り込んできた保護者会長
具体的な例を挙げます。
ある学校に赴任して、4月の部活の予定表を出した時のこと。予定では日曜日は部活を休みにしてありました。
すると翌日に部活の保護者会の会長が職員室に怒鳴り込んできたのです。
職員室の引き戸をガラガラ、ピシャン! と勢いよく開けて猛然と突入してきた保護者会長。いきなり机をバーンと叩いて言ったんです。
「先生、日曜日なんで休みなの?」
衝撃でした。
日曜日は学校の定休日です。定休日に休むだけで、これほどの勢いでクレームを入れてくる保護者が実在するなんて……。
「え、日曜日は休みだからですけど……」と返した私に、会長はさらに語気を荒らげて言いました。
「前の先生は土日も毎週夜中までやってくれたよ! この子たちの青春を潰す気なの⁉ 先生は毎年コンクールやってるかもしれないけど、この子たちにとってはね、コンクールは一生に一度しかないんだよ!」
私はもう呆然。
「いや、私にとっても今年は一生に一度しかないんですが……」
と思いつつ、強く言い返すこともできません。その場では「じゃあ、ちょっと考えますから」と、なんとかなだめて帰ってもらいました。