共通価値を拡大するには
社内だけで通用する「社内価値」ではなく、どこでも通用する価値「共通価値」を拡大していくとはどういうことだろうか? まずは早い段階で外の海を見るという努力が必要だ。内向きに徹していては、共通価値が大事であるということには決して気づかない。20代から常に共通価値の拡大に努めていくことが必要だ。50歳を超えて定年予備軍となってからではやや遅いが、それでもその段階で気づけばまだ間に合う可能性もある。
再び図表1を見てほしい。今まで社内で培ってきた人脈や評判も、実はこの定年予備軍化した段階で急激に色あせることになる。学び続けながら共通価値を向上する努力を続けていかねばならない。止まってしまったら、共通価値は急激に低下する。なぜなら、そのような「外部で役に立つ共通価値」は、その根拠となる知見、能力も変化を続けるため、常にアップデートを続けなければならないからだ。外部でも役に立つ知見は、それだけすぐに古くなる。ここでよい、と思ったとたんに、すでに過去の知識になってしまう。ここがとても怖いところだろう。
共通価値の維持向上には、継続的に学び続け、刺激的な環境の中に身を置き続けることが必要なのだ。具体的にはどうするのか? 図表2のように、年齢を問わず、常に新たな知的刺激の中に身を置くことが大事だ。そして生涯にわたって継続して共通価値の向上に努めること。そのような環境がもし社内になければ、転出するか、あるいは副業として社外に求めてもよい。
社内で難しければ、二足の草鞋を考える
社内でも企業内起業の機会を得たり、あるいは海外の支店などで経営の力を試してみるということもあるかもしれない。あるいは不採算事業の立て直しなど、常に新たな領域に挑戦していくことではないか。
副業が推奨され始めた昨今、二足の草鞋もよいと思う。新たな領域で新たな問題に直面したとき、自分の力で考える訓練も大切となる。まずは小さくても何か新たなことを創出してみたり、今まで問題だとされながらも放置されてきたことを、思いきって解決してみるといったことも役に立つかもしれない。
知的ネットワークの拡大も重要だが、単にお友達というのでは意味はない。同じ問題をともに解決する中でネットワークができていく。それは社内外の特定の目的、問題解決のために組成されたプロジェクトチーム等での共同作業かもしれないし、あるいは起業を通じての人とのつながりかもしれない。修羅場の中の厳しい環境で生まれたネットワークこそ強い。