株の売買や投資信託には元本割れリスクがあり、怖くて手を出せない人も多い。投資歴17年のFP・浦上登さんは「その点、国債なら国が財政破綻しないかぎり元本割れしない。1.5%の利回りとなる日本の国債もあるが、他にも4%の利回りが見込める投資法がある」という――。
政府債務上限と連邦政府の閉鎖
写真=iStock.com/Douglas Rissing
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日本の預金ではなく、アメリカ国債に投資するメリットとは?

この連載で前回は株式投資の話をしたが、今回は債券投資の話をしてみたい。

債券投資の代表としてお勧めしたいのが、米国国債への投資だ。お勧めする理由は次の通り。

1.年4%前後の複利利回りがえられる。
2.満期まで待てばドル建てで元利が保証される
3.問題は為替リスクだが、かなりの程度でコントロールが可能。

すなわち、利回りが4%なので、今後円高になっても金利高と円高が相殺され、長期で持てば、円建てでも元本割れのリスクはほぼなくなる。

昨今の金利の上昇を反映して、日本でも円建ての銀行預金1年物で年1.0%程度の商品が出てきたが、それでも金利は米国国債の方が高い。

米国国債はどういう人にお勧めと言えるだろうか?

1.株式投資ほどのリスクを取りたくない人

前回ご紹介したS&P500やオルカンへの長期積立投資だが、リスク分散という手法により米国経済や世界経済の成長にリンクした上昇が期待できるが、やはり株式への投資なので投資金額の保証があるかと言えばない。

これに対し、米国国債はドル建てとは言え、満期まで待てば元本が保証され、利回りも確定する。金利の高いドル建ての銀行預金のようなものだ。

2.いざというときには長期保有をする覚悟と資金力のある人

唯一のリスクは為替だが、この記事の後半で説明するが、円高になっても最悪の場合10年、20年の長期で考えれば、まず、損をすることはない。コントロール可能である。だから、さしあたり使う必要のない余裕資金を長期投資するのに向いている。もし、円安に振れれば、短期間(2~3年から4~5年)で利益を上げることができる。

米国国債は「高金利で機動性のあるドル建て銀行預金」

米国国債を日本の銀行預金と比較した場合の特徴を述べてみよう。

1.日本の銀行預金と比べ高金利である

2.日本の銀行預金は単利だが、米国国債は複利なのでより大きく増える。

3.両者とも元利保証の金融商品である。

4.日本の銀行預金は円建てだが、米国国債はドル建てである。

一言でいえば、米国国債は「高金利で機動性のあるドル建て銀行預金」ということになる。

日米金利差を示す指標として、次ページの図表1をご覧いただきたい。

過去5年間の米国国債10年物と日本国債10年物の比較チャートだ。