老後生活には年金+αの資金が必要。ファイナンシャルプランナーの山口京子さんは「+αの資金を確保するためには、ゆるゆると働くのがいい。『夢軸』で好きな仕事をすれば長期間働ける」という――。

※本稿は、山口京子『お金も人生も薔薇色!老後計画』(主婦と生活社)の一部を再編集したものです。

フォーマルな服装の女性同僚が窓の近くに立って外を見つめるバックビュー
写真=iStock.com/GaudiLab
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老後は「ゆるゆると」「できるだけ長く」働く

突然ですが、私の父は92歳、母は91歳。年金をいただきながら、ガソリンスタンドで元気に働いております。ロトの図のピンクの部分がいらない人たちです。

「90代でまだ働くなんて気の毒に……」と、同情されるかもしれません。でも、昔馴染みのお客様はいるし、体が動くのがありがたいと、炎天下の夏も、雪降る冬の日も、ガソリンを入れております。「生涯現役」が両親の夢であり、大いなる生きがいなのです。

多くの方は、老後の生活に年金+αの収入が必要です。私はその「+α」の方法として、まず「働く」ことをおススメします!老後資金の+α分は、厚生年金の方なら月に数万円の方がほとんどでしょう。低収入でよいのなら、仕事の選択肢が広がります。その中から、ぜひ「老後の生きがいや夢」につながるジャンルを選びましょう。

想像してみてください。同じ働くのでも、「子ども大好き! 学童保育指導員をやってみたかった」と、「今さらこの年で、元気いっぱいの小学生の相手は辛い(ため息)」とでは雲泥の差。

“健康余命”を考えると、気が進まない労働に時間と心身をささげるのはもったいない! さらに、低収入でよい⇒ゆるゆると⇒できるだけ長く働くという手もあります。仕事を通じて、夢や生きがいを求めるもよし。割り切ってサクッと働き、自分のための時間をがっつり満喫するもよし。貴女のお好みのスタイルを選べばよいのです。

「夢軸」で好きな仕事をすれば長期間働ける

私の友人に、「職業・旅人」という50代女性がいます。彼女の仕事は、一人旅の方に同行することです。彼女の旅行代は、依頼者が負担。依頼者がトイレの間に荷物番をしたり、一緒に食事をしたり。普段は、自分のブランドの木工細工を通販や、デパートなどで販売しているんです。

はたまた、若いころ書道の師範免許を取ったけれど、お役所勤めをしていた女性は、定年退職後に念願の書道教室をオープン。「毎日、筆を持てるうえ、生徒さんがどんどん上手になるのを見られるなんて、ほんと幸せ!」彼女らに共通しているのは、「収入を得つつ、ニコニコ・イキイキ!」です。

そして、皆「体が動くかぎり、続けていきたい」と言います。FP目線から素晴らしいと思うのは、好きな仕事だからずっと働きたい=将来的に年金以外の収入見込みがある=老後のリスクを一つクリア、という点。