ドル→円の為替リスクをコントロールする方法

また、米国国債は満期を待たずに売却することも可能だ。ただし、この場合は、売却価格は計算通りに推移せず、実勢金利によって変動するので、価格の変化を見ながら売却することが必要になる。

これで、米国国債投資が金利=運用益の面ではかなり魅力的な商品だということが分かっていただけたと思う。問題は為替リスクのコントロールということになる。

試算の前提:米国国債割引債の税引き前複利利回りを年利3.901%とする。

為替リスクのマネージの仕方は次の通り。

1.円高の時点で米ドルを買い付け、外貨建てMMFで保有する。
2.米国国債の利回りを確認しながら、利回りが上昇した時点で、外貨建てMMFのドル資金から、米国国債の買い付けを行う。
3.満期前でも円安になり、利が乗れば売却する。
4.為替が円安に振れない場合は、満期時まで待つ。 
(1)その時点で円安なら、円転して売却する。
(2)円安にならないときは、米ドルで受け取り、別の米国国債に再投資し、金利を稼ぎながら円安になるのを待つ。

このやり方のポイントは次の2点だ。

1.円高の時に米ドルを買い、円安の時点で国債を売る。満期になっても円高であれば、ドルのまま引き続き保有し、円安になるのを待つ。
2.外貨建て債券は、利回りがある程度あれば、その利率と満期時までの時間に応じた「円高耐性力」をもつ。

満期時、円高になった場合はどうすればよいか?

金利の高い債券に投資をすれば、将来円高になっても、損をしにくくなる。

米国国債に投資すると、例えば、年率3.901%の複利ベース利回りでドル資金が回るので、円が年率3.901%で上昇しても、金利と円高が相殺され円換算ベースでは損をしない。

それを示したのが、図表4になる。

現在の為替レートを148円とすると、年率3.901%でドル資金が回れば、

1年後に142.44円/ドル、
5年後に122.23円/ドル、
6.5年後に115.41円/ドル
10年後に100.94円/ドル

これを20年後で計算すると、なんと68.84円/ドルとなる。

【図表4】年利回り3.901%で複利運用した場合の損益分岐点為替レートはいくらか?――円高耐久力の実証

20年後に68.84円/ドルになっても、円換算ベースでは、はじめに投資した148万円が確保できるということだ。

この場合の計算は複利ベースになっていることに注目してほしい。