「スーパー台風」に匹敵する勢力による記録的大雨

台風19号による豪雨は各地に甚大な被害をもたらした。消防庁のまとめ(10月15日現在、第10報)によると、死者47人、行方不明者14人、負傷者は226人に上る。

今回の台風19号は一時、最大風速が60メートル前後に達する、いわゆる「スーパー台風」に匹敵する勢力となり、これまで経験したことのない記録的な大雨を降らせた。

だが、台風は地震とは違い、数日前から予想できる。予想が付くということは、事前の対策ができるということだ。そのひとつが、このところ実施されるようになった「計画運休」である。

写真=時事通信フォト
台風19号の接近に伴い、掲示された運休情報などを見る人たち=2019年10月11日、埼玉県川口市のJR川口駅

計画運休のできる社会は「成熟した社会」だ

昨秋の台風24号では、JR東日本が初めての計画運休を実施した。当時の朝日新聞の社説(2018年10月6日付)は冒頭でこう主張する。

「荒天が予想されるとき、事前に列車の停止を決める『計画運休』に、鉄道各社が踏み切るようになった。危険時の外出の抑制にもつながる。課題を解決しながら定着させていきたい」

計画運休を定着させていくことに沙鴎一歩も賛成だ。大きな災害が予想されるときに不要不急の外出を避けるのは当然だし、それができる社会は「成熟した社会」と言えるからである。

朝日社説は「台風24号が列島を縦断した先月30日。JR東日本は正午過ぎに、首都圏の全路線で午後8時以降の運転をとりやめると発表した。首都圏での大規模な実施は初めてで、複数の私鉄も順次、運休や減便を決めた」と書いてこう指摘する。

「荒天のさなかで列車を運行すれば、駅間での立ち往生にもつながる。乗客が閉じ込められても風雨の中での救出は難しい。計画運休はこうしたリスクを避けられるうえ、利用者は余裕をもって予定を変更でき、帰宅困難者も減らせる」
「災害に先手を打つ意味で、望ましい対応だったといえる」

計画運休はリスクの回避につながる。しかも忘れたころにやって来るのが災害である。だからこそ災害には先手の対策が肝要なのだ。