IOC会長が「札幌に移すことを決めた」と突然発表

「寝耳に水」とはまさにこのことを指すのだろう。東京オリンピックの競技会場変更のことである。

東京都の小池百合子知事は「唐突な発表に驚いた」「青天の霹靂」などと不快感を示し、さらに「涼しいところでというのなら、『北方領土』と声を上げていただければ」との発言もあった。よほど悔しかったのだろう。

10月16日、国際オリンピック委員会(IOC)が突然「マラソンと競歩の会場を札幌に移すことを計画している」と発表。IOC側は変更の理由を「アスリートファーストの猛暑対策」と説明した。

トーマス・バッハ会長は翌17日、カタールの首都ドーハで開かれたオリンピック委員会の会議で「札幌に移すことを決めた」と踏み込んだ発言をした。「決めた」というこの言葉。IOCは日本側の意向をどう考えているのか。

写真=EPA/時事通信フォト
国際オリンピック委員会のバッハ会長=2019年10月3日、(スイス・ローザンヌ)

これまでの東京開催に向けた準備は何だったのか

ドーハでは9月下旬から10月6日まで陸上の世界選手権が開かれていた。マラソンと競歩は夜中に行ったにもかかわらず、高温多湿の悪条件で棄権者が数多く出た。バッハ会長はこの世界選手権を視察していた。そして視察後、すぐにIOCを通じて東京の猛暑に対する不安を日本側に伝えてきたという。

マラソンはオリンピックの華である。IOCの「アスリートファーストの猛暑対策だ」という説明を聞いても、これまで準備を進めてきた日本側からすれば戸惑いは隠さない。無理もない。沙鴎一歩も「何をいまさら」と強く感じた。