こんなことが続けば、それはもう「札幌五輪」である
真夏の暑さをどう防ぐのか。2013年9月に東京での開催が決まった直後から猛暑対策は指摘され、日本は着々と準備を進めてきた。
マラソン競技は女子が来年8月2日に、男子が翌9日に開催が決まっている。コースは新国立競技場(新宿区)をスタート地点に、銀座や浅草、皇居外苑など東京の名所を走る。暑さ対策として時計の針を1~2時間進めるサマータイムの導入や夜間の開催も検討された。最終的に男女のマラソンは当初よりも1時間半早い午前6時にスタートすることに決まっていた。
残暑の厳しい9月15日には本番とほぼ同じコースで、代表決定レースの「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」を開催した。暑さのなかで選手たちにどんな影響が出るのかをテストするだけではなく、警備対策やボランティア活動の参考にもした。これまでの東京の努力は水の泡と化す。
東京オリンピックの開催まで10カ月を切った。10月30日から東京でIOCの調整委員会が開かれ、大会組織委員や都、IOCの各メンバーらが集まる。このまま札幌での開催となる可能性が濃厚だ。
しかも、である。改めて北海道警を中心に警備を練り直し、ボランティアも新たに集めなくてはならない。マラソンの発着地点となる新国立競技場の観戦チケットはすでに販売済みだ。マラソンと競歩以外の競技の猛暑対策はどうするのか。変更するのか。次々と札幌とその周辺に変更していくと、これはもう「札幌五輪」である。変更するならもっと早く変えるべきだった。
55年前の東京五輪は涼しい10月に行われた
東京オリンピックの開催期間は、来年7月24日~8月9日の17日間で、東京パラリンピックは8月25日~9月6日の13日間である。
そもそも猛暑が懸念される真夏での開催自体が大きな誤りだった。55年前(1964年)の東京オリンピックは夏が終わり、秋風が吹き出す10月10日(後に体育の日)から始まった。マラソン競技では、「はだしのアベベ」と呼ばれたエチオピアのアベベ選手が、アスファルトの甲州街道を走り抜けて話題となった。
なぜ、来年の東京五輪は真夏に行われるのか。それは国際オリンピック委員会(IOC)が夏季(7月15日~8月31日)に五輪を開催できる国を募ったからである。
それではなぜ、夏季なのか。