産経は「原発の信頼回復を妨げる」と原発推進を貫く

新聞の社説はこの問題をどう書いているか。各紙を読み比べてみると、原発賛成の新聞と原発に反対の新聞では、書きぶりに顕著な違いがある。

たとえば産経新聞の社説(9月28日付)は「関電側に多額金品 原発の信頼回復を妨げる」と見出しを付けてこう主張する。

「原子力事業の信頼回復に向けて、先頭に立たなくてはならない自覚が希薄に過ぎる。これだけの事態が明るみに出ていながら、真摯な反省すらみられない。関西電力は不正の全容を自ら明らかにし、改めて厳正に処分すべきである」

産経社説はあくまでも原発賛成なのだ。それゆえ関電を「自覚が希薄に過ぎる」と批判するのである。原発そのものを全面的に肯定し、悪いのは原発を建設して稼働している関電だという考え方だ。

原発必要不可欠というスタンスはいつになったら変わるのか

産経社説はさらに「3億超の金品は、高浜原発の工事受注にからんだ資金が元助役から還流した疑いがある。これが事実であれば、高額金品の原資は利用者の電気料金である」とも書く。

金品の原資とその流れは産経社説の指摘の通りなのだろう。だが産経社説は原発を推進していく立場から関電の金品受領を問題視している。

産経社説は最後にこう訴える。

「電力は国の根幹を支えるエネルギーであり、原発はこれを安定供給するために必要不可欠な存在である。その牽引役がこのていたらくでは健全な活用も望めない」

産経社説は福島原発の事故をどう考えているのか。原発必要不可欠というそのスタンスはいつになったら変わるのだろうか。