あの稲盛和夫氏も「バカ上司」に苦しめられた

上司に対する不平不満は宮仕えの宿命といっていい。あの稲盛和夫氏も、新卒で入った会社で上司から学歴を理由に差別されたり、手柄を横取りされたりしたのが相当悔しかったらしく、怒りを綴った父親宛ての手紙が残っている。彼が実際にどんな仕打ちを受け、どのように対処したかは拙書『思い邪なし』に詳しく書いたので、興味のある向きはぜひそれを読んで参考にしてほしい。

稲盛氏は結局独立という道を選んだ。その結果、後に平成を代表する名経営者となるのだから、阿呆な上司にはこっちから三行半を突き付けるというのも選択肢のひとつであるのは間違いない。ただし、それが誰にとっても最良かといったら、そんなことはない。

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こう考えてはどうだろう。たとえ上司がどうしようもないバカに見えたとしても、「いやいや、もしかしたら自分が気づいていないだけで、本当は優れた能力の持ち主かもしれないぞ」と、1度は自分の目を疑ってみるのである。

私自身も銀行員時代、この人はあまり出来がよくないと見くびっていた上司が、後にたいへんな人間力の持ち主で、多くの人から信頼されていたことを知り、自分の不明を恥じたことがある。