Q. 仲間を飲みに誘えない
飲んでも愚痴をこぼさないこと
酒には功罪ともにありますが、そのうちの「功」について楽しく教えてくれるのが、プラトンの『饗宴』(光文社古典新訳文庫)です。
紀元前のギリシャで、プラトンの師匠ソクラテスが多彩な友人らとともに長椅子に寝そべり、ワインを酌み交わしながら「エロス(愛)」の起源について論じた記録です。古代ギリシャではこのような、ともに飲みかつ語る歓談を「シンポシオン」と呼び、それが現代のシンポジウムの語源になっています。
酒の功とは互いに本音で楽しく話せることで、だからこそ気心の知れた関係をつくるために酒の場が重視され、「飲みに誘えない」ことが悩みの種にもなるわけです。
最近の若い人は職場の仲間と一緒に飲みたがらないといわれ、管理職の中にはそれで悩んでいる人もいると思います。しかし私は、彼らは飲みに行きたくないのではなく、飲むと愚痴ばかりこぼす先輩や説教を始めるような上司とは一緒に行きたくないということだと解釈しています。
大事なのは、相手の話を聞いてあげるということです。語り合うなら「『仕事』とは何か」といった哲学的な話はどうでしょう。