台風15号の上陸で首都圏では出勤時間帯に鉄道各社が計画運休を実施。駅の周りには、運転開始を待つ長蛇の列ができた。なぜそうまでして、会社に行こうとするのか。ニューヨークに住む記者の小西一禎さんは、その背景には日本人独特の習性があると指摘する――。
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ニューヨークでは大雪の日は在宅勤務が当たり前

関東地方に上陸し、停電や断水など深い爪痕を残した台風15号。日本からの報道で伝えられる惨状を見るにつけ、ただただ心を痛めている。一方、それとは異なった側面から、懸念を感じざるを得ない映像をも目にした。首都圏の鉄道各社による計画運休を受け、会社に向かうために運転開始を待つ通勤客が長い行列をつくっていた姿だ。

米国で暮らしてみて、驚いたことは数知れずある。そのうちのひとつは、大雪やハリケーンなど自然災害の到来があらかじめ予測されている際、オフィスや学校がクローズになることだ。私が暮らす東海岸・ニュージャージー州は、ニューヨーク(NY)・マンハッタン西側を流れるハドソン川を渡ってすぐのところにある。青森とほぼ同じ北緯40度で、厳しい寒さが続く冬は、50センチをゆうに超える大雪に何度か見舞われる。

前日までの天気予報で、ウインターストーム警報・注意報が出されると、テレビ局は雪関連のニュースを主体とする放送に切り替え、在NY総領事館は現地に住む日本人向けに、メールなどで注意するよう促す。警報・注意報の有無にかかわらず、相当な積雪、暴風雪が予想される場合、会社や学校は前日ないしは当日早朝に自宅待機を命じ、勤労者はパソコンなどを使った在宅勤務に切り替える。