わざわざオフィスに行く必要がないから

背景には、当然ながら鉄道やバスの運休のほか、道路の大混乱で自動車通勤の人でも出社できなくなるという物理的な事情がある。無理やり社員に出社を強いたところで、仮に事故でもあった際の訴訟リスクを防ぐという面もあろう。そして、最も大きい理由は、自宅勤務を含めた柔軟な働き方が浸透しているため、わざわざオフィスに出向く必要がないということだ。

すべてとは限らないが、長時間労働とは無縁で、1日の就業時間を満たせば、即オフィスを後にするのが米国人の基本的な労働スタイル。管理職も非管理職も同様のマインドを持ち、大規模な自然災害が起きるという時に、あえて出社するという考え自体が始めから頭の中に存在していないということに行きつく。

余談だが、大雪時に避けられないのは、自宅前・横の道路に積もった雪かきだ。これを怠り、仮に通行人がケガでもした場合、訴えてくることもあり得るので注意が必要。訴訟大国の一面を垣間見ることができる。

電車が運休なのに会社に行こうとする人々

昨年ぐらいから、主に台風の災害が予想される時、日本の鉄道各社で計画運休に踏み切る流れが広がってきている。無理やり運行しても、ダイヤが大混乱するのは目に見えており、運休によって事業者・利用者双方の安全性は保たれる。反面、鉄道会社側は運休に伴う「企業活動や通勤、通学客への影響」を気にしており、「影響人員○万人」などと公表している。

運休で影響が出るということは、あらかじめ運休が分かっていても会社に行こうとする人が多いということだ。言い換えれば、運休が分かっていても、時間通りに行かなければいけない人が多い、ということになろうか。この点、子どもの学校関連で知り合った米国人知人に尋ねてみると「カルチャーの違いが大きいんだね」と一言で済まされてしまった。