2016年、危険ドラッグを製造・所持したとして医薬品医療機器法違反の罪で東京簡裁から罰金50万円の略式命令を受け、NHKをクビになった元アナウンサーの塚本堅一氏。塚本氏が使っていたのは「ネットで買った製造キット」。事件から3年の月日が経ったいま、逮捕当日の様子を振り返る――。(第1回、全3回)

※本稿は、塚本堅一『僕が違法薬物で逮捕されNHKをクビになった話』(KKベストセラーズ)の一部を再編集したものです。

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突然押しかけてきた黒スーツの集団

その日の朝がやってきました。

連休2日目でしたが特に予定がなく、今日は髪を切って白髪でも染めるかと美容室のweb予約をしていた時のことです。時間は朝9時過ぎでした。「ピンポン」と玄関のチャイムが鳴ります。

当時住んでいた部屋は、かなり古い造りの物件で、インターホンはなく、訪問者が来ると扉越しに直接話すか扉を開けるかのどちらかでした。荷物が届く予定もなかったので、休日の朝早くに何だろうと不思議に思い、のぞき窓を確認すると、黒っぽいスーツを着た集団が、家の前に大勢集まっています。

のぞいたのは一瞬でしたが、見覚えはありません。「どちらさまですか?」と扉越しに尋ねると、「役所の者です」という答えが返ってきます。「何の用です?」と何度か尋ねても「役所の者」と繰り返すだけです。役所の人が朝早くから何の用か。そもそも役所の人というのは本当なのだろうか。