違法薬物にハマる人にはどんな特徴があるのか。薬物依存症の治療に取り組む松本俊彦医師が、危険ドラッグの製造・所持で逮捕歴のある元NHKアナウンサーの塚本堅一氏との対談をお届けしよう――。(後編/全2回)
※本稿は、塚本堅一『僕が違法薬物で逮捕されNHKをクビになった話』(KKベストセラーズ)の一部を再編集したものです。
「反社会的で、嘘つきで、どうしようもない」のか?
【松本】世間一般の人は、薬物で捕まった人や薬物依存症の人を「反社会的で、嘘つきで、どうしようもない」と思いがちです。でも、多くの薬物依存者と会ってきた立場としてつくづく思うのは、“いい人”がたくさんいるということです。世の中にはいい人も悪い人もいっぱいいるけど、依存症と無縁の一般人とも何ら変わりはない。「クスリが好きなのがたまに瑕」程度の感覚で、いい人だと感じる人は本当に多いんです。
【塚本】実際、私も依存症回復施設に通ってみて、「依存症患者さんも普通の人なんだな」と感じる機会も多かったです。一見、我々の生活と変わらないような暮らしをしている人が、依存症からの回復を目指している。この事実は、彼らに会ってみないと気づけないかもしれません。
【松本】本当にそう思います。もっと世間の人たちが、彼らの存在に気づいてくれたらいいですよね。塚本さんにお会いしたときも「ああ、いい人だな」と感じましたし、「優秀なアナウンサーだったんだろうな」と純粋に感じました。だから、日本の厳しい偏見に晒されるなかで、それを武器にして生き延びて欲しいんですよ。
そんな風潮をどうにかして普及できないものかと、かねてから僕や「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子さんは考えていました。そういう意味では、塚本さんと会ったときに、モデルケースとして「オイシイ人が来たな」という打算もありましたけどね(笑)。
【塚本】そうだったんですね(笑)。