次の段階では2パターンが考えられる。「子ども1人が戻る」「子ども2人が戻る」だ。いうまでもなく、2人で戻っては無意味なので、子ども1人が戻ることになる。この時点で、川のこちら側には大人と子ども1人がいて、向こう側には子ども1人がいる状態だ。

次は、大人と子どもがそれぞれ1人ずつ渡るという2パターンが考えられる。ただし、先に子どもが渡った場合、樹形図の2つ前のパターンと同じことになり、意味がないのでNGだ。つまり、ここでは大人が1人で渡ることになる。

前に出てきたパターンと重ならないように進んでいく

同様に前に出てきたパターンと重ならないように進んでいくと、図にあるように次は子ども1人がこちら側に戻り、最後に子ども2人で渡れば、全員が向こう側に渡ることができる。

いかがだろう。樹形図を使ったこの方法は時間がかかって効率はよくないが、確実に解けることがおわかりだろう。今回の問題は簡単なので、樹形図を使わずに、適当に組み合わせながらあれこれやっているうちに答えが見つかるかもしれない。ただ、その場合は見落としがあったり、答えの再現性がないというネックがある。

こうした樹形図は、ビジネスでも使われるロジカルシンキング(論理的思考)の基本で、「モレなく、ダブりなく」を意味する「MECE(ミーシー)」と通底する考え方なのだ。さらに、考えやアイデアなど頭のなかを整理する思考法である「マインドマップ」とも関係している。ちなみに、樹形図の概念は小学校6年生の算数で出てくる「場合の数」で習い、中学・高校の数学でも「確率」「集合論」などで学習する。それだけ大切な考え方なのだ。

(構成=田之上 信)
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