大金を当てるのは、それこそ夢のまた夢

私は防衛省海上自衛隊で数学を教えている。「海上自衛隊で数学を勉強?」と意外な気がするかもしれないが、私の所属する小月教育航空隊は航空学生と呼ばれるパイロット候補生の養成機関で、パイロットには航空力学など物理的な素養が必要になるため数学は必須なのだ。海上自衛隊では主に哨戒機「P-3C」と哨戒ヘリコプター「SH-60K」のパイロットを育成している。

教えるのは高校の数学II・IIIと大学数学の初歩レベルだが、高卒者が約8割(18~20歳が中心)を占めるうえ、約半数が文系出身のため、数学を苦手にしている航空学生も多い。そこで数学に興味を持ってもらえるよう、身近な話題を織り交ぜるなどいろいろな工夫をしている。

今回の宝くじの話もその1つ。夢を求めて宝くじを買う人は多いが、大金を当てるのはそれこそ夢のまた夢だ。

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宝くじは数学的に計算すると、「買えば買うほど当せん金は購入額のほぼ半分に収束」していくことがわかっている。どういうことか。たとえば宝くじを1億円分購入したとする。もちろん実際に買うのは難しいが、「web宝くじシミュレーター」のようなツールがあり、パソコンで実験できる。