NHKから国民を守る党の立花孝志党首は、警視庁から脅迫容疑で事情聴取を受けていたことを明らかにした。これがN国ブームに終焉を告げるのか。文筆家の御田寺圭氏は「立花氏が壊したいのは社会の『常識』や『良識』だ。同じように社会への憎悪を抱く人びとは、応援を続けるだろう」という——。
写真=時事通信フォト
緊急記者会見するNHKから国民を守る党の立花孝志党首=2019年9月9日、東京・永田町の参院議員会館

政治の「外側」だからもてはやされていた

NHKから国民を守る党の立花孝志党首は9日夕、国会内で記者会見を開き、警視庁から脅迫容疑で事情聴取を受けたと明らかにした。その上で「今直ちに辞めることはしない」と述べる一方、有罪が確定した場合に議員辞職する考えを示した。捜査関係者によると、東京都中央区議の男性に言及した動画を巡り、月島署が立花氏から任意で聴取した。男性が被害届を出していた。
(共同通信「N国党首、任意聴取受ける」2019年9月9日より引用)

「NHKより先にぶっ壊れたのか!」——という、おそらく日本で100万回くらいはすでに言われたであろう感想はさておき。

NHKから国民を守る党(以下N国党)立花氏の破天荒なふるまいは、いわば「社会的・政治的な常道に属さないアウトサイダー」だからもてはやされていたようなスタンスである。国会議員という「常道の枠内」の人となってからその方法を継続するのでは評価は一変するし、むしろこれまでとは逆の結果として作用しうるものだった。

参院選の前後から多くの注目を集めてきたN国党・立花氏には、ブームというべき現象が生じていた。コミカルでキャッチーなフレーズと、「NHKの受信料」という全国民に関係するワンイシューの政策、また立花氏の独特なキャラクターによって、一部で熱狂的な支持者を獲得した。

一方で、多くの人は立花氏に対して「違和感・異様さ」を抱いたはずだ。その正体について、先日の氏の釈明会見を見ながら「ああ、やはりそうか」と察するところがあったので、その話をしたいと思って今日はテキストを書いている。