精神医療の世界で話題になっている「オープンダイアローグ」という考え方に、「対話(ダイアローグ)は健全、独り言(モノローグ)は病的である」というものがあります。独り言があまりにも多くなってくると、心が病気になりかかっているのかもしれません。

職場で独り言を言う人は、無意識に対話を欲しています。各々が言いたいことを言う「会話」とは異なり、「対話」は相手の言うことを受け止めて返す、キャッチボールのようなコミュニケーションのこと。

仕事に関する独り言を言う人がいたら、鬱陶しがらずにその独り言を受け止めた後、「どうしたの?」「忙しいの?」「無理してない?」など、何でもいいので声をかけてあげること。「お疲れさま」のような挨拶でもかまいません。

封じ込めるには、まず話しかけること

仕事とは関係ない独り言、たとえば「そろそろお昼行こうかな」「腹減ったな」などと言う人には、「今日は何食べるの?」「一緒に行く?」と声をかけてみる。「誘われ待ちのかまってちゃんは面倒くさい」と思ったとしても、独り言を言う=対話を求めていることに変わりはありません。対話をすることこそが、彼らの独り言を止めるきっかけになります。対話に満たされれば独り言を言う必要がなくなるからです。

「ありがとう」「うれしい」「助かる」といった言葉をかけるのもおすすめです。アドラー心理学では、自分や誰かを励ます「勇気づけ」を大事にしています。ここでいう勇気とは「生きる力」のこと。独り言を頻繁に言う人は、自分のことも周りのことも見えておらず、生きる力が弱まっている可能性もあると考えられます。だからこそ、対話を通じて勇気を高めてあげるわけです。

勇気づけをするときの基本的な言葉が、前出の「ありがとう」「うれしい」「助かる」です。この3つをちょっとしたときに口にすることです。そのためには、相手に対する「独り言がうるさい人」という否定的な見方は脇に置いてください。相手に興味を持って、仕事ぶりを観察し、いいところを見つけて「お願いしていた仕事、対応してくれてありがとう。助かったよ」と声かけを。対話を大事にすることで、心地よい人間関係が生まれるはずです。

(構成=池田園子)
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