思わず駆け込み乗車をしてしまう人の心理

電車に乗っていると、閉まりかけたドアを押し開けるようにして、すごい勢いで駆け込んでくる人を見ることがありますよね。明らかに危ないとわかっているのに、それでも駆け込み乗車をしてしまうのはなぜなのか。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/ake1150sb)

以前、駅の階段にビデオカメラを設置して、駆け込み乗車について調査したことがありますが、上り階段と下り階段で比較すると、駆け込み率が高いのは前者だとわかりました。下り階段のほうが転んだときに大怪我をしたり、他人を巻き込みやすかったりとリスクが高いため、行動が抑制されるのです。リスクレベルの認知には個人差がありますが、人は主観的にリスクが少ないと思うと、リスクを取りにいきます。

リスクを取ることで得られるメリット、リスクを取らないことで生じるデメリットを天秤にかけたとき、あえてリスクの伴う行動をすることを、心理学では「リスクテイキング行動」と言います。

発車ベルが鳴ったらなぜ走ってしまうのか

以上を踏まえると、駆け込み乗車は3パターンに分類できます。

1つ目は意識的にリスクを取るパターン。駆け込むリスクを取ると、目的地に早く着くメリットがあります。駆け込まなかった場合は、遅刻するデメリットがあります。メリットとデメリット、さらにはリスクを取ったときの損害の大きさを、総合的かつ合理的に判断した結果、駆け込み乗車をするタイプです。