忘れ物をしないことのほうが難しい

電車内の忘れ物で、圧倒的に多いのは傘です。どこでも手に入る安価なビニール傘で、失くしたら大変なことになるほど重要性が高くはないのが、忘れやすい理由でしょう。

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忘れ物は、予定の記憶(展望的記憶)に関係しています。電車に乗って傘を手すりに掛けたら、「降りる前に手すりに掛けた傘を手に取ろう」と予定しますよね。でも、乗車中ずっと傘のことを考え続けるわけにはいかず、いったん意識からなくします。その後、電車を降りるタイミングで、その予定を自発的に思い出さないといけません。これが展望的記憶です。その予定を思い出さなかったら、展望的記憶の失敗といえます。

忘れたのではなくて、「思い出さなければいけない予定を、思い出し損なった」というのが正確で、あらゆる忘れ物をする理由はこれで説明がつきます。ただ、実際のところ、必要なときに予定を思い出すのは、とても難度が高いことです。

これを前提として、電車内に傘を置き忘れないためには、大きく3つの対策が考えられます。