展示物の内容でその是非の判断をしてはならない

あいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」に話を戻すと、政治的要素の入った「表現の不自由展・その後」のイベントにおいては、政治的要素の入ったあらゆる展示物を「全て」認めるか、政治的要素の入った展示物は「全て」禁じるかの二者択一で判断するしかなかった。展示物の内容でその是非の判断をしてはならない。

橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社)

全てを禁じるというなら、「表現の不自由展・その後」は中止。それはある意味、楽だし、役所が主催するイベントの本来のあり方だと思う。混乱を避けるというのが役所の本質的な役割なのだから。

しかし、もし、愛知県や名古屋市などの実行委員会や芸術監督である津田大介氏が、混乱を招いたとしてもこのイベントにあえてチャレンジする、というのであれば、政治的要素の入ったあらゆる展示物を「全て」認める方向でやるしかない。

ありとあらゆる政治的要素の入った作品を全て展示していく。「表現の不自由展」と銘打つ以上、至る所で猛バッシングを食らった、また食らうであろう作品、すなわち本来であれば日の目を見ない、表現の場が与えられないであろう作品を全て並べなければならない。

そしてこの際、重要なのは、あらゆる表現者にチャンスを平等・公平に与えたかというプロセスの部分であり、作品の取捨選択のプロセス、抽選方法等が厳格に行われたかどうかが一番のポイントとなる。表現の中身ではないのである。

(略)

(ここまでリード文を除き約2700字、メールマガジン全文は約8800字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.163(8月13日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【表現の不自由展(2)】見えにくいアウト・セーフのライン。政治的表現を「内容」で規制していいのか?》特集です。

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