※本稿は、一徹『セックスのほんとう』(ハフポストブックス/ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
セックスする人も、結婚する人も減っている
これからのセックスがどのように変わっていくのかを考えたときに、よく言われている日本人全体の「セックス離れ」がまず浮かびます。
たとえば、東京大学とスウェーデン・カロリンスカ研究所のチームの発表によると、18~39歳の日本人の25パーセントに性交渉経験がないそうです。1992年は20パーセントだったそうなので、23年間でずいぶん、セックス未経験者が増えたと言えるでしょう。30代に限っても、ほぼ10人に1人が未経験だったそうです。
また、結婚しない人たちも年々増えていて、「2015年国勢調査」によると、30代前半の男性の未婚率は47.1パーセント。約半数が35歳までに結婚していないことがわかります。生涯未婚率も年々あがっていて、50歳時点で一度も結婚歴がない人の割合は男性で約4人に1人、女性で約7人に1人だそうです。
セックスをする男女が減っている。結婚する人も減っている。これらには、いろんな要因があると言われています。大きなところでは、経済的な側面。若い世代の低賃金化は社会問題にもなっています。将来を考えると、お金を使いたくても使えない。これは男性も女性も同じです。
もしここに、「デートでは男性がおごるのが当然」という空気があるとしたら、男性は女性をデートに誘えない、セックスまで持ち込めない、結婚しても養えないという状況が生まれていても不思議ではありません。実際、男性は女性をリードすべきだと考える大学生は3分の2近くいるとも言われています。
働く女性が増えても求められる「経済力」
加えて、「AV男優"ラブホに行っても応じなくていい"」(7月4日)でお話ししたような、性的同意の課題があります。100パーセント同意の上で行ったと言い切れるセックスでないと、のちのちトラブルになる可能性があるとなると、及び腰になるのもわかります。
現実問題として、恋愛、セックス、結婚のための物理的・精神的コストが、若い男性にとって大きな負担になっているように思います。
近年「パパ活」という名の年配男性と若い女性の交際も話題になっています。収入面だけでいうと、経済的余裕のある年配の男性に、学校を出たばかりの若い男性が太刀打ちできるはずがありません。
女性の社会進出が当たり前になった今でも、女性が交際相手や結婚相手に求める条件には「経済力」が上位にあがります。むしろ、国立社会保障・人口問題研究所による「出生動向基本調査」によると1997年の調査よりも、2015年の調査時の方が、「結婚相手の条件で重視する点」として「経済力」の数字があがっているほどです。