だから僕は、もう男性がリードして、女性は口説かれるのを待つべきという考えはやめたほうがいいんじゃないかと思います。「好きだ」「セックスしたい」と思ったら、性別に関係なく気持ちを伝えればいい。「男だからうまくリードしなきゃ、口説かなきゃ」と気負わなくていいんです。
男性だから、女性だからという先入観を取り払うことも大事だし、素直に自分の気持ちを伝えることも大事だと思うんです。
対等になるにつれ、夫婦関係は選べる時代に
ここまでは未婚の男女の話をしてきましたが、2015年に発表された日本家族計画協会のデータによると、既婚者の44.6パーセントが1カ月セックスをしていないとなっています。ほぼ半数ですよね。
夫婦間のセックスレスにも、いろんな原因があると言われています。ひとつはメディアによるセックスレスの煽りがあると思います。また、共働きが増えて、忙しい夫婦が増えていることなどもあるでしょう。さらに、先にお話ししたAVをはじめとする動画や雑誌の入手が手軽になって、そちらで性欲の処理を済ませてしまうということもあるかもしれません。
これまでは男性が家庭で甘やかされてきたところもあるのではないかと感じます。以前、男性が外で稼いでくるのが当たり前という時代は、女性はポケットにキャバクラや風俗の割引券を見つけても、我慢して受け入れていたところがあったかもしれません。見て見ぬふりをするという話も聞きました。
でも、女性も経済力をつけ、対等なパートナーとなったときに、そこは我慢する必要がないと感じるようになったのだと思います。また、お互いの合意の上であれば、パートナーとセックスをしないという考えもあるかと思います。セックスをするもしないも、対等な関係で選べるようになった。そんな時代なのかもしれません。
いわゆる「夜のおつとめ」のような義務感が男女両方から消え、夫婦であったとしても、セックスを断れる状況になってきた。これはこれで、健全な状態とも言えます。相手に無理強いをしない社会になったとも言えるかもしれません。
「家族としては好きだけれど、セックスはしたくない」と思うのであれば、それを伝えて新しい関係を築くという方法もあり得るでしょう。セックス以外に愛情の確認をとれるのであれば、それでもいいのかもしれません。夫婦の数だけ、セックスの形があっていいと思います。