やっぱり、子どもを持つのって悪くない!
最近は書店に一コーナーができる旬の絵本作家のエッセー。ヨシタケファンの若い世代を読者に想定しているのだろうが、50代の私にも妙に響いた。
本書は著者が日常で描きためたスケッチを解説する形式で書かれている。「描いておかないと忘れてしまうくらいどうでもいいことを記録しておきたい欲」があるためで、ストレスのあるときに多くのスケッチが生まれるそうだ。
ちょっとしたことをメモする習慣は私にもあるが、気の利いたイラストで描けるのは羨ましい。「この間ボク、こんなこと考えちゃいました」というスタンスで綴られ、特に教訓的なものばかりでもないが、不思議な味わいがあった。
「孤独感だって、何か役立ててやる。もっと言うと、仕事にしてやる。劣等感だったりとか、ねたみみたいな気持ちもお金に替えてみせるみたいな(笑)」。それはクリエイターだから言えるんじゃない? とも思ったが、こう続いた。
「でも、やっぱりもやもやはもやもやで、そのときはもやもやしてる。でも、そのもやもや感を『というわけで今日は1日もやもやしました』で終わらせたくない。今日はもやもやしたけど、これは貯金として、ポイントとしてたまりましたとしたい」
絶妙なイラストが一番効いているのは第2章(父だから考えちゃう)だ。たとえば裸エプロンならぬ裸シートベルト。家族で出かけて2人のお子さんが川で遊んで服がびったびたになった。着替えもなく、お母さんから帰りの車に「そのまま乗るな」と。で、裸でシートベルトにくくりつけられた子どものイラストがつくのだが、これが可愛い。