どうすれば「カイゼン病」から抜け出せるか

「まずは、一枚のまっさらな紙を用意してください。そこに自分の思っていることを自由に書き出してみる。さらに習慣として、1日15分、ビジョンを自由に描く時間を作ることから始めてください」

BIOTOPE代表 佐宗邦威氏

それが、「新しい思考」のスタート地点だ――著者の佐宗邦威氏は言う。

「僕たちが転機の時代を乗り越えるために必要なのは、つきつめればただ1つ。『妄想』する力なんです」

ビジネスや自分のキャリアがうまくいっていない――そんな悩みを多くの人が抱えている。その理由は、皆が「カイゼン病」に罹っているからではないか。そんな問題提起が、本書の根底にはある。

「とにかく数を作り、性能をつきつめればいい。そんな『答え』がはっきりした時代は、カイゼンで良かった。しかし、多くの産業がサービス業化する世界的な潮流のなか、必要なのはクリエイティブな力。それを養うには、カイゼンを超えなければいけない」

カイゼンのためにとPDCAサイクルや、新しいツールを導入し、必死に「答え」を求めてきた。しかし、どうにもうまくいかない。

ならば、さらに進んだ、グローバルの最先端ビジネスを学ぼう。そう思って勉強を始めたあなたは驚き、不安に陥るかもしれない。「答えはない」という厳しい答えがそこにあるからだ。GAFAにしろ、テスラにしろ、イノベーションを起こした成功者たちは「答えのない問い」に向き合ってきた。スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのみならず、イノベーティブな人間を突き動かしたのは、問題発見の論理性よりも、自分がこうしたいという「妄想」なのだ。