ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、夜の付き合いをほとんどしない。仕事が終わると真っすぐに帰宅し、本を読みながらビジネス戦略を練るという。ハフポスト日本版編集長の竹下隆一郎氏は「柳井氏のような内向的な人が結果を出せる時代に変わった」と指摘する――。
撮影=若杉憲司

※本稿は、竹下隆一郎『内向的な人のためのスタンフォード流 ピンポイント人脈術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

「内向的」な人が世界を大きく変える

「内向的」という言葉を辞書で引くと、「心の働きが自分の内部にばかり向かうさま」と書かれています。類語辞典を引くと、「内気」や「消極」の文字が並びます。

どこかネガティブで暗いイメージが付きまとっている言葉であるのは確かです。

しかし今の時代、「暗い」とされてきた目立たない存在が、社会のルールを大きく変えるゲームチェンジャーである可能性が高まっていると僕は確信しています。

なぜ私が内向的な人ほどビジネスに強いと思うようになったのか。それは、ユニクロを展開するファーストリテイリングの会長兼社長の柳井正さんを取材したことがきっかけです。

尖閣諸島をめぐる対立で、日中関係が悪化していた2012年のこと。

ユニクロをはじめ中国に進出した日本企業にも厳しい目が向けられ、激しいデモが起きていました。ビジネスパーソンとして、そうした反日感情にどう向き合うのかを聞きに行ったのです。

内面ととことん向き合い、ビジネスの展望を描く

柳井さんは、新しく出店したサンフランシスコの店舗の記念式典で挨拶に立った中国系の市長の話をしました。政治関係が冷え込んでも、経済交流を通して日中関係を維持する大切さの事例だったからです。

柳井さんは熟考しながらゆっくりと話す姿が印象的でした。執務室の机には英語の雑誌やニュースレターが積まれていました。

後ほど関係者に聞くと、柳井さんは、夜の付き合いをあまりせず、仕事を終えると真っ先に自宅に帰ることが多いといいます。そこで本を読み、将来のビジネス展開について徹底的に考え抜いている。

だからこそ、日中関係のようなデリケートなテーマについても深く答えることが可能だったのだと思います。

インタビューの様子から、自分の「内面」と向き合っている経営者だと感じました。