高市早苗首相の「台湾有事」発言に猛反発する中国は、今後どんな動きに出るのか。拓殖大学客員教授の名越健郎さんは「中国は台湾統一工作で盟友ロシアに同調を求める動きを強めている。ただ、伝統的に相互不信がある中露関係は一筋縄ではいかないようだ」という――。
2025年9月2日、中国の首都北京の人民大会堂でロシアのプーチン大統領と会談した習近平中国国家主席
写真提供=Xinhua/ABACA/共同通信イメージズ
2025年9月2日、中国の首都北京の人民大会堂でロシアのプーチン大統領と会談した習近平中国国家主席

習近平がプーチンに頼んだこと

ロシアのSNS、テレグラムで発信する独立系情報チャンネル「インサイダー・ブラック」(11月17日)によると、中国の習近平国家主席はロシアのプーチン大統領との電話会談で台湾情勢を協議し、「中国は2027年までに台湾を北京の支配下に置く」方針を伝えたという。

同チャンネルはクレムリン関係筋の話として、「台湾をめぐる戦闘が起きた場合、中国はロシアが北京と一致団結して、反西側枢軸を構築することを期待している」「中国はプーチン政権が日米やNATO(北大西洋条約機構)諸国に圧力をかけ、台湾に介入させないことを望んでいる」と伝えた。

プーチン氏は要請を拒否しなかったが、「現時点でロシアは、この計画を支持すると約束できない。ウクライナの戦闘が続く限り、すべての戦力はそちらに集中する」と述べたという。習主席は、ウクライナ戦争を早期に終結させるよう求めた。

この報道は、習主席が政権4期目に入る共産党大会開催年の2027年を「台湾復帰」の目標に据えていることを意味し、衝撃的だ。電話協議は11月7日の高市首相の台湾有事発言の後行われたとされ、時間切れが近づく習主席の焦りがうかがえる。

しかし、トランプ米大統領は、「あなたの任期中に行動を起こさない」との誓約を習主席から受けていると述べており、報道の信憑性は不透明だ。ロシア得意の情報操作の可能性もある。

台湾工作でのロシアの役割とは

中国が台湾統一工作で、盟友ロシアの役割を重視していることは間違いない。

「インサイダー・ブラック」(5月24日)によれば、習主席は5月初めに訪露した際、プーチン氏との非公式会談で、「台湾と中国本土の再統一は不可逆的な歴史的潮流であり、国家政策の重要な課題だ」と強調。プーチン氏は、「ロシアは軍事面で中国との戦略パートナー関係を維持する」と応じたという。

習主席は訪露に先立ち、「ロシア新聞」に寄稿し、「今年は台湾が日本から解放されて80年になる。台湾が中国の懐に戻ることは、第二次世界大戦の勝利と戦後の国際秩序の重要な構成要素だ」と力説した。5月の中露共同声明も台湾統一の必要性を明記し、ロシアは「台湾統一への努力を強く支持する」と表明した。

習主席は9月3日、北京での抗日戦勝記念式典演説で、「国家の主権と統一、領土一体性を守る」と述べたが、「台湾」には言及しなかった。身内のロシアには、台湾工作での同調を強く求めていることが分かる。