少しの工夫で医療費を節約する方法がある。3人の識者に、7つのテーマにわけて具体的な手順を聞いた。第7回は「人間ドック」について――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の掲載記事を再編集したものです。

▼3260円お得に!(※)
実はあまり意味がないバリウム検査

※バリウム検査1回の値段。健康保険適用しない場合

高額なのに、質の低い人間ドックも

人間ドックは、自分の健康状態を知る手段。病気の予防や早期発見にも有効だ。ただ、その値段を見ると数万円というものから、数十万円というものも。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Ca-ssis)

「値段が高くなるほど検査項目が多くなるので、お金を出す価値はあります。それだけ異常が検出される可能性が高くなるわけですから。もっとも、中には高いだけで質の低い人間ドックもあります。日本人間ドック学会や日本総合健診医学会などが認定する施設から選ぶのも1つの方法です」(長尾クリニック院長の長尾和宏氏)

もう1つ、有効な判断基準に「バリウム検査」があるという。長尾氏によれば、胃の検査でバリウム検査を採用するか、胃カメラ(胃の内視鏡検査)を採用するかで、人間ドックの質がわかるとか。

「極端に言えば、バリウム検査での早期胃がんの発見には難があります。検査の精度は胃カメラのほうがずっと上です。それなのに、バリウム検査を採用するのは、人件費の問題が大きい。胃カメラは医者が担当しなくてはならないうえ、午前中に診られるのは医者1人でせいぜい十数人ほど。バリウム検査は放射線技師に任せられ、午前中だけで50人も対応することができます」(同)

患者の人数で考えても5倍。人件費の面でも、放射線技師より医師のほうが高給なのが一般的。同じ値段の人間ドックであれば、バリウム検査が組み込まれているものより、胃カメラで検査を行うもののほうが断然お得というわけだ。

しかし、胃カメラで検査をするとなるとやはり、より信頼できる施設で人間ドックを受けたくなる。

「人間ドックを行っている施設のホームページを見て、医師の顔写真が掲載されていることが第一条件。さらに、専門病院や名の通った病院と提携しているかどうかもチェックしてください」(同)