有罪判決の被告はなぜ信頼できる男に見えるのか

しかし、見方を変えれば、被告人の一貫した態度は、黙秘という権利をつかった見事なパフォーマンスでもあった。短時間の傍聴にも関わらず、僕が被告人から得た印象はつぎのようなものだ。

口が堅い。約束を守りそう。意見をコロコロ変えない(ブレない)。言い訳しない。やったことは認め、それについての責任は、前科一犯という形で自分が取る。

大麻を長年使い続けたどうしようもない男、とは思わないのである。逆に、意志の強そうなこの男が、母にも迷惑をかけたと反省している以上、今後は大麻と縁を切るのではないかと期待してしまうのだ。

そして、これらの印象は、ビジネスマンが仕事相手の信用を得る上で欠かせないものばかりだと気づく。会社が被告人をクビにしないのは、そこを見込んでのことではないか、と。

検察の求刑は2年6月。5分間の休廷の後、下された判決は求刑通りの2年6カ月、執行猶予4年だった。

(写真=iStock.com)
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