なぜ、勤務先は保釈金を負担し雇用を続けると証言したのか

取り調べで、被告人は大麻やLSDの使用歴が30年にもなると明かしているから、大ベテランと言っていい。40歳ころからは2カ月に一度のペースで購入し、上野や秋葉原の路上で週に一度は吸っていたそうだ。理由は同居している母親に見つかりたくないから。大胆だなあ。臭うだろ大麻。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Juanmonino)

今回所持していた大麻は、逮捕される1カ月前に40グラム買ったものの一部。昔は10グラムずつ買っていたが、使用量が増えたためまとめ買いするようになり、数年前からLSDも購入。大麻への常用性も認め、母に心配をかける結果になったと後悔の気持ちを延べた。覚醒剤ではなく大麻やLSDだったのは、本などで覚醒剤の危険性を知っていたからだったという。

被告人に前科はなく、素直に罪を認めていることから執行猶予がつくだろう。所持量が多いこと以外に、目を引くような点もない。よくある薬物関連の事件だが、めったにないことが2つある。

1)勤務先の上司が証人として出廷し、今後も雇用を続けると明言した。保釈金も雇用先が負担
2)取り調べでも裁判でも、部分的な黙秘を貫いている

30年の大麻常習者をクビにしない理由

1について、上司は、被告人は勤務態度が真面目かつ有能で、クライアントの信用も厚いことから、執行猶予付き判決の場合は雇用を続け、被告人を支えていくと断言。具体的には宣誓書を書いてもらう、日報や電話で勤務状態を把握する程度のことだが、会社全体で更正をサポートする態勢ができているという。

「会社では今回の事件のことを秘密にせず、社員すべてが知っております」

内々にせず、全員で見守る。それが被告人にとって最大の励みにもプレッシャーにもなるという考え方なのである。素晴らしすぎて、何か被告人をかばう理由があるのではないかと疑いたくなるほどだ。

個人的意見だが、僕は所持していたのが大麻とLSDだったからだと思う。覚醒剤なら周囲の見る目は格段に厳しくなるだろう。大麻は日本でこそ禁止されているけれど、海外では合法的に吸えるところも増えている。

ただ、30年も前から吸っているとなると面白半分で吸ってみたという言い訳は通じない。被告人、大麻が大好きなのだ。それでもクビにしないということは、仕事においてよほどのやり手なのだろうか。それとも、大麻に寛容な社風なのだろうか。